デザイナーとして、仕事を引き受ける際に、忘れてはならないこと。
そのひとつは、
「このデザインは、果たして誰のどんな問題を解決するのか—」
である。
垢抜けたお洒落なデザインも、時代の先をいく洗練されたデザインも全てはこの上に成り立つと思っている。
プロダクトアウトではなく、イシュードリブン
「こんなサービスをリリースしたい」
「自分はこういうことをやりたい」
クリエイティブの世界ではそういった言葉が蔓延り、決して自分もその世界の外に住んでいる訳ではないのだと思うが、
数限られた場面の中でも、仕事というものは、自分スタートではなく相手の問題ファーストで成り立っていることに気づく瞬間がこれまでも何度となく訪れた。
そこに問題があるからこそ、たまたま居合わせた自分が得意をかけ合わせて解決していくことが仕事になる。
誰かの課題を見つけて、的確な匙加減で提案を重ねていくことによって必要とされるのだということがようやく分かりつつある。
世の中、その問題を解決することができそうな人に相談がいくと思っている。
だから、自分の思い込みでまだこの分野に関しては経験が少ないからとか、他にもっといい人がいるだろうと尻込みばかりしていては自らの成長を阻害する要因になるとも言える。
やってみないと分からないし、転ばずに最初から綺麗に走り切れる人などいないのだから。
自分を売り込んでいかないと食べていけないのがフリーランスの世界の通例かもしれないが、
「私はこんなこともあんなことも出来ます」と声高にアピールするより、
そこに相手の課題を解決する要素は入っているのか—
売り込まなくても、相手の課題を解決していけるパートナーである限り、また自分も進化していく限り、必要とされ生きていけるのではないか、と感じた肌寒い仲秋の朝である。