世界の約75億人のうち、約10億人が飢餓や栄養失調の問題で苦しむ一方で、20億人近くが肥満など食に起因する生活習慣病をかかえているという現実。

飽食の時代とは言えるが、凄まじい格差だ。

豊かな国に生きる自分ができること

WFP 国連世界食糧計画のオフィシャルサポーターを務める、知花くららさんが自身の著書にて「外食でワインを1杯飲むたびに、アフリカの貧しい子どもたちの話をするように決めている」と話されていたエピソードを読んで以来、もう何年も経つのに今でも印象に残っている。

「普段は東京で仕事をしているので、正直なところ毎秒毎分そういうアフリカの子どもたちのことや、アジアのスラムに住む人達のことなどを考えていられるわけではありません。でも、完璧じゃなくてもいい。100できなくても、0でやらないよりは、3やるのがいいわけじゃないですか、きっと」

と完璧な遂行を求める代わりに、出来る仕組みの中で自分が出来ることを少しでも良いからしていこうと行動している彼女の柔軟さに深く心を打たれた。

危篤な習慣を持つ彼女に影響を受けて、自身も見習えないものかと思っていたところ素敵なサービスを見つけたので、シェアしたい。

先進国で1食とるごとに 開発途上国に1食が贈られる仕組み

『世界はひとつの食堂だ、と考える』をスローガンに活動をおこなう、TABLE FOR TWO という非営利団体がある。

直訳すると、「2人の食卓」ではあるが、

先進国で1食とるごとに 開発途上国に1食が贈られるプログラムで、肥満や生活習慣病予防のためにカロリーを抑えた定食や食品を購入すると、 1食につき20円の寄付金が、TABLE FOR TWOを通じて開発途上国の子どもの学校給食が贈られる仕組みだ。

20円というのは、開発途上国の給食1食分の金額にあたる。

身近なところで例を挙げると、私が愛する無印良品が運営するMUJI Cafeにも、TABLE FOR TWO のサービスがオプションでつけられるようになっている。

どこにお金を落とすかの基準を半ば選挙投票のように考えている私は、自身も両親も個人事業主であるがゆえに、チェーン店での食事は出来る限りしないように決めており、出来る限り個人で営業されているお店を応援するような気持ちで多くのお金を彼らに注ぎたいと考えているが、その中でもMUJI Cafeは例外的なお店となる。

MUJI Cafeは、提供される食事のクオリティもさることながら、日々お店で働いているスタッフの対応もとても気持ちがよく、接客マニュアルはあるのだろうが働いているひとりひとりが目の前のお客さまにできることは何かと考え、率先垂範で行動している姿が見ていてとても気持ちがよく、通うたびに学ぶべきものがある。

「食」は人を良くすると書くが、まさに日々の食事で人の思考や行動がつくられているのだという事実をまざまざと感じるのである。

何不自由なく暮らせる先進国にたまたま身を置く自分に出来得るせめてもの偽善行為だと知りつつも、「TABLE FOR TWO」という優れたサービスのおかげで富の再分配の真似事が出来たようで日本で暮らす贅沢な日々に対する罪悪感が少しばかり消える。

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この記事を書いた人

ヒカリノアトリエの中の人

三度の飯より、旅が好き。
旅と写真と文章をこよなく愛しています。