10年くらい前に本屋で、

「お寿司も指輪も欲しいもの全部、自分で買おう。」

という本のタイトルを見つけたことを思い出した。

中身はパラパラと立ち読みした程度で特別覚えていないのだが、

経済的に自由な大人同士なら、お金で買える程度の欲しいものはある程度、自分で買えるんじゃないだろうか。

夢がない、そして加えて女の子ならこういった考え方は可愛くないのかもしれない(果たして29歳を「女の子」と呼ぶのか、と言う点については…そっとしておいていただきたい)

誕生日や記念日だからといって義務のプレゼントを贈り合う習慣は好きじゃないんだ。

ひねくれすぎだろう、という指摘はさておき、何だかお互いに取ってつけたようで歯が浮いたような気持ちになってちょっと苦手というわけだ。

そんなつもりじゃないんだって方、ごめんなさい。

クリスマスやバレンタイン、みんながこぞってプレゼント交換をする行事を私は少し離れた目線で眺めていたりする。

それ本当にあげたいと思ってあげているのかな…ゴニョゴニョ

余計なお世話かもしれないが。

個人的には、誕生日であろうがなかろうが「これだっ!」とビビッときたものや渡す相手を象徴するような代物が見つかった日には誕生日や記念日のジレンマに邪魔されることなくプレゼントしたいと思うし、行きたいときに行ける旅行や一緒に美味しいものを食べたいと思ったその瞬間にたまたま誕生日や記念日が重なっていたという偶発的要素があるくらいがちょうど良いと思っている。

それが特別な日でも何でもない、6月のとある土曜日の午後、みたいな瞬間の方が自然だ、という具合に。

つまり、記念日であることが先にくるのではなく、贈りたい気持ちがあるからその日が記念日になるという逆説論になる。

実際は、そういった記念日を理由にしないとなかなか特別なイベントごとをしない、というのが現実的な話なのかもしれないが…

こちとら生まれてこのかた29年ほどひねくれ者をやっているのでお許しいただきたい。

ところで先日、知人がFBにてとても素敵な投稿をしていたのでシェアしたい。

『今月は、彼氏の誕生日月間なのでDIYして快適なキッチン環境をプレゼント』とあった。

同棲している彼氏さんへの誕生日プレゼントに関する投稿だった。

お互いにお金で買えるものは自分で買えるし、欲しいものを聞かれても思い浮かばず、最近のプレゼントはもっぱらスキルの提供。

とそこには書いてあった。

プレゼント=お金で買えるもの、ではなく

快適な環境やそれによって得られる時間、相手のQOL(Quality of Life)が向上することでご機嫌に過ごしてもらえる時間が増えることは周りまわって自分も幸せにすることが出来ると思う。

アイデアやスキルシェア…それも贈り物になるという考え方がとても粋だと思った。

私自身、ここ最近は大切なひとに贈り物をする時、相手に新しい体験がもたらされるかどうかという点を基準にして贈り物を選ぶようになった。

それがモノであるかコトであるかはどちらでもよくて、

自分のためにこんな高級なものは選ばない、

自分一人なら、普段は行きもしないようなちょっといいお店、

そして日頃出来ない体験や見られない景色が見える旅先の宿など、

一人だったらまず選択肢に入らないポイントをついて「新しい体験(=価値)」を提供することで相手の人生の見える景色に今までにはない新しさが加わったら個人的に優勝だな、という一抹の傲慢さを添えて。

それがこちらの独りよがりにならないように細心の注意は払いたいところだが、その辺りは贈る相手との関係性によっても変わってくるので言語化が少々むずかしいところ。

実際に私自身ここ最近は、目先の物欲があまりなくなってきた。

物を抱えては死ねないし、大量のものに囲まれて暮らすのも常に脳の判断メモリを鈍らせてしまっているようで嫌だ。

流行りのミニマリストに寄せるつもりはないのだが、買わなければ捨てる労力もいらないではないか。

どうやったら痩せるかを考えるよりも、そもそも食べなければ太らないのと理屈上は同じなのだから。

では、一体何にお金を使うようになったのかと聞かれれば答えは明白で自分がお金を払って得られる体験や価値に広くお金を使うようになった。

社会人になりたての頃、

「社会人になったのなら、お金で時間を買うことを覚えることだ」といった父の一言が印象的でもある。

敢えてバス旅を楽しみたい、などといった理由がないのであれば、格安バスを使ってなんかいないで新幹線で時間を買うこと。またそれが出来るのが社会人のたしなみだ、ということが伝えたかったのかなと勝手に思うことにしている。

これからの人生はより一層、大切な人とはお金で買えない時間的な価値や体験を共有したい、そして実際にそう出来る人とより多くの時間を重ねていきたい、というのが目下の望みである。

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ヒカリノアトリエの中の人

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