これまで20カ国、100都市以上を旅してきました。

そのほとんどは一人で旅してきたものです。

「それだけ行ったら、もう満足でしょ…?」

かつて、そんなふうに言われたことがありますが、私の答えはもちろんノーです。

私にとっての旅は、若い時期のある一定の期間、根を詰めて「やり切ったら終わり!」という類のものではなく、これから先も人生とともにあるものだと思っています。

お金と時間と自由があるからこそ、そんなことができる?

本当にそうでしょうか…?

やりたいことを実現させる方法を考え抜いて、時に悩んで、地道にコツコツお金を貯めて…と道のりは容易いものではありません。それを若いうちだからできるだなんて決めつけるのは早計ではないかと思うのです。

とはいえ、その地道な過程に辛さを感じることは全くと言っていいほどなく、その過程も含めて楽しめる理由は、

そこに明確な意志があり、突き動かしてくれるエネルギーがほとばしっているからです。

旅人人生から消えた、3年

2020年になる頃には、多くの旅人が原因不明のウィルスの蔓延で3年近くも強制的に旅に出ることをストップさせられることになりました。

2020年が明けた当時、3ヶ月間の一人旅を終えたヨーロッパからの帰りの飛行機で達成感と次なる旅への期待とワクワクを抱きながら、

「どうせ、インフルエンザみたいなもんでしょ?」と呑気に構えていましたが、向こう3年近くも海外への扉が閉ざされてしまうなんて、この時は知る由もありませんでした。

現に、その年の4月には長期で北欧のある国へ戻ることが約束されていましたが、結局その予定は反故にせざるを得ませんでした。

予定調和に行かない日々で、旅という存在がいかに自分の人生で必要不可欠であったかを思い知りました。

これまでも、理解されないであろう感情を抱くたび、行き場のなかった心を救い出すつもりで「突破口」を見つけるかのように旅を続けてきたように思います。

そんな中でこの3年は、人生の一番の楽しみを奪われたかのような。

旅に出られない悲しみから、晴れた日の朝に突然訳もわからず涙が出てくることもしばしばありました。

旅に出られないことによる自律神経失調症…?

それはつまり言い換えると自分の身体の一部から大事な部分を切り離されたかのような感覚が近いと妙に納得したのを覚えています。

仕方なく暇さえあれば、過去訪れた旅の写真を振り返り、その度に心にぽっかりあいてしまった穴を埋め合わせている気持ちでいました。

旅がある限り生きていける。

少々大袈裟に聞こえてしまうかもしれませんが、事実です。

旅する喜びを知ってしまった自分は、もう知らなかった頃の自分には戻れない。

旅は自分を支え、時に鼓舞し続けてくれる心の拠り所。

そんな響きがぴったりです。

海外を旅しているときの自分が好き。

異国で目覚めたときに妙に心浮き立つあの嬉しさやローカルとの他愛もない会話。

はじめて口にするローカルフードを好きになる瞬間。

まだ誰もいない早朝に、知らない路地を探検するかのようにリズミカルに歩くあの心沸き立つ感覚。

旅を一途に愛してやまない。

海外を旅している時の自分が好き。

海外へ出ると自分の知らない一面に出会える瞬間がとても多いです。

いつもよりも、アグレッシブでチャレンジングで、何かにつけ自分でなんとかするんだ、という主体性もMAXになり、

知らないことを知りたいという好奇心の扉は全開に、まだ見ぬ景色や人に会ってみたいと可能性が無限大に拡がっているような感覚にさえなります。

ネットや人から見聞きした二次情報が「自分のもの」になることも大きい。

日本に居続けていたら知ることのなかった可能性の発掘に繋がっています。

ちょっと前は、地名も聞いたことすらなかった場所の路地を得意げに歩いている自分が逞しくも思えたり。

旅を続ける理由を挙げるとキリがありません。

旅をしているときの私の身体と心は、細胞レベルで喜びを噛み締めています。

以前、とある占い師さんに「日本じゃダメなんですよね〜。ダメというか、きっと満足しないよね?」と言われて、見透かされた驚きと激しい同意が重なって瞳孔を見開いてしまいました。笑

旅とともに人生を歩むようになって以来、あまり物欲もなくなり、出来ればなるだけ家に物を増やしたくないと思うのも、きっと増やしてしまった荷物は自分で背負わなければいけない、というバックパッカー時代の切実な名残りがあるからです。

それよりかは旅を通して得られる、ずっと残り続ける経験に価値を感じて投資をしています。

私が「旅」を続ける理由、それは極めてシンプルで旅には代替不可能な喜びと希望、人生を自分らしく謳歌するために欠かせないエッセンスが詰まっているから、です。

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ヒカリノアトリエの中の人

三度の飯より、旅が好き。
旅と写真と文章をこよなく愛しています。